札幌独立キリスト教会案内

† 年輪

 クラーク先生が札幌に到着し、札幌農学校「教頭」(President)として活躍をはじめたのは1876年、札幌独立キリスト教会が創立されたのは1882年です。
 クラーク先生の学問と教育の遺産は、北海道大学などの学校に継承されましたが、その根源となる先生の携えて来た信仰は、この独立教会に脈々と継承され、幾多の試練を経て伝えられてきました。

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† 信徒の証詞しょうしと独立の精神

 本教会は、第二次大戦後牧師職を設置せず、会員が交替で日曜日の礼拝の証詞やその他の集会の責任を分担しています。いわゆる教職者と信徒の区別(身分的・職務的)を設けず、信徒であるかぎり誰もがそれぞれ伝道の努めを担うという考え方が、この教会の最大の特色となっています。
 一人ひとりが福音に生かされて、やむにやまれず真実をもってあかしをし、聖書の真理を語ることを中心として、聖日礼拝を守っています。私たちの言う証しとは、自分の宗教心や体験を語ることではなく、聖書によってイエス・キリストを世に向けて証言することなのです。
 「独立」の精神とは、人に頼らず、神にのみより頼む信仰であり、会員各自が真剣に神を仰ぎ神の力に働かされて生きることですが、本教会創立以来の独立の精神が、そのようなかたちで現在も活きているのです。

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† 主にある兄弟愛と開かれた協力

  本教会は、個人の信仰の独立を重んじますが、父なる神を主と仰ぎつつ、イエスを長子とする兄弟愛によって結ばれた共同体です。そしてそれぞれが責任を担って諸集会や奉仕活動を行い、福音を世に宣べ伝えるために協力しています。
 そして信徒がひとりではないように、独立教会も孤立する教会ではありません。すべての人、すべての教会に対して、開かれた責任ある関係に立つことが独立教会の課題であり、偏狭な独善的分派主義に陥らぬよう戒めながら、寛容と理解と愛をもって公同の教会全体の使命のために努めようというのが独立教会の第二の特色です。

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† 礼典と組織

 独立教会は、現在、洗礼や聖餐せいさん式等の礼典を特に行っていません。それを絶対視してはいけないとか、一切の組織・制度を持つべきでないとかいった主義や教条を掲げているわけではありません。独立教会は、現に、自主独立の責任ある組織(会員総会、執事会等)と教会堂を持っています。
 ただ、形や組織や制度が先に存在するのではなく、活けるキリストが新しい形を生み出すものだと私たちは考えています。従来のキリスト教会のありかたを絶対化するのではなく、それらに秘められた意味の理解に努めつつ、福音の光によってそれを相対化するという立場です。
 洗礼は行いませんが、それに代わるものとして、教会会員名簿に署名し、誠実に信仰を告白し、会員として責任を果たすことを誓約する入会式があるのは、その一例です。
 そのように、活ける主キリストを第一として神と人の前に責任ある組織と形を整えるというのが、独立教会の第三の特色と言えます。

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† 会員の交わりと研鑽けんさん

 本教会においては会員一人ひとりの信仰は独立ですが、兄弟愛により結ばれた神の家族の構成員として、温かく慰め励まし助けあうとともに、厳しく研鑽しあうのです。
 具体的には、日曜日の礼拝を堅持するほか、礼拝後の証詞者を囲む会、祈祷会、聖書研究会、読書会、札幌福音的教育・平和研究会、青年会、婦人会、いずみ会、教会学校(幼児から中学・高校生までの子供たちのための学校)等があり、定期的に集まって、互いに助け励ましあって聖書や信仰について学び、祈りを共にしています。また、教会全体の毎年の定例行事として、夏期集会、秋の創立記念講演会があります。
 これらの集会はいうまでもなく強いられるものではなく、会員の自発的参加から成り立っています。こうして聖書を中心に謙虚に学び、考え、教えあうことによって、一人ひとりが自らの持ち場で神のみ旨にかなう生き方を求めているのです。そのような、いきいきとした奉仕と研鑽が、独立教会の第四の特色です。

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† 遺産の継承と発展

 聖書の真理は、クラーク先生を生かし、内村鑑三や宮部金吾らを生涯働かせたものであります。独立教会は、その聖書の真理を証言し、信仰によって継承しています。一世紀を超える間受け継がれた信仰、神に召し集められた信徒たちの共同体の波瀾風雪の経験と教訓は、重く深いものがあります。
 そして、信仰や精神の継承とは、それを受け継ぐ私たち一人ひとりの問題にほかなりません。本教会員はそれぞれ独自の個性を持ち多様な領域で生き働いていますが、私たちは、ただ形のうえで先輩のあかしを模倣するのではなく、現代の状況と自らの持ち場という現実の中で、いかにしてその精神と模範を生かすべきかを模索しつつ歩み続けています。
 本教会創立者の遺産を、今の時代に、そして将来に向かって、いかに深化し、醇化し、発展させていくか。現代社会へ向けた伝統の再解釈と福音の証言の課題を、私たちは共に負いつつ前進しようとしているのです。

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